「主体性の獲得は楽しさに繋がる」と改めて意識する話
一昨日、Dari Kというチョコレート会社さんが出している手作りキットでチョコレートを作成しました。企業名のDari Kとはインドネシアにある”スラウェシ島から”という意味らしいです(スラウェシ島は地図で見るとわかりますが、ローマ字のKの形に似ている)。
現地では、カカオ豆の発酵作業について農家への教育をされているそうですが、そもそもは「なぜインドネシアのカカオ豆が日本ではほとんど使われていないのか?」という好奇心から現地へ旅立ち、調査を経て、今に繋がったビジネスをされているようです。これは地でエスノグラフィーをしたんだなと、強い敬意を感じました。詳しくはサイトをみてください。
さて、カカオ豆からチョコレートを作る工程はシンプルですが、人力はやっぱりしんどいです。豆を洗って、炒って、皮をむいて、スリコギで押しつぶす。押しつぶす。押しつぶす。
疲れてきても、右手左手と代わりばんこにゴリゴリゴリゴリ。修行中の料理人のように、人力で回す。摩擦熱で少しづつ油が滲み出てきます。ゴリゴリゴリゴリ・・・汗をかきかきすり潰します。チョコレートが固まるのでエアコンを切った状態です。室温も手伝ってかだんだんと滑らかになってチョコらしくなっていきます。
2時間半近く擂り粉木と格闘しましたが、砂のような粉はなくなりません。まだまだ人力でもいけるのでしょうが、もういい加減やめようと、チョコを型へ入れて冷蔵庫へ放り込みました。全体としては4時間くらい作業していたのでしょうか。固まったチョコはザラっとして市販のチョコと比べたら舌触りは悪いですが、カカオの香りが強く、コクがしっかりとあって美味しかったです。
とさて、ようやく今日の本題に入ります。
最近、個人的に感じているのが自動化(最適化)ということへの受け入れ拒否感です。工場の生産ラインでの作業の自動化は良いとして、売られているプロダクトの操作の自動化(最適化)は楽しみを奪われているのだなと改めて感じることがありました。
身近な例をあげますと、カメラのオートフォーカスや白飛び防止は誰でも綺麗な写真を撮れる便利な機能です。私も旅行時などはオートフォーカスで写真を撮っています。しかし、私はカメラで実験的な写真を撮ることもあります。白黒写真にしてわざとピンとを呆けさせたり、コントラストを極端に強くしたり、シャッター速度を変えてみたり。もちろん、おおかたのカメラはマニュアルモードで撮影可能ですので、この操作はちゃんとできます。これはおそらく、カメラが一眼レフという高機能ユーザのものから、ライトユーザへ落ちてきた結果からではないでしょうか。
さてでは、もう少しニッチなニーズのカメラの話になりますが、私はタイムラプスという写真撮影もたまに試してます。その際、カメラを360度自動回転してくれる雲台を探していました。3年前にはそんなものがなく、イケアに売っているキッチンタイマーの上にカメラを固定できるようにして使っていました。しかし、60分で1周するタイマーです。時間の調整はできません。去年くらいから360度回転してくれる電子雲台が発売され始めました。しかし、キッチンタイマーと同じで1周が60分だとか、90分だとかで調整はできません。今年に入って、1台で1周15分、30分、45分など、刻める仕様のものが出てきました。これは買いたい!と私はそのとき思いました。しかし、しかし、やはりそれでもやはり固定なのです。カメラのシャッター速度のように調整はできません。自動で固定化されているのです。僕ができることは大まかな設定だけです。
と思っていたら、つい最近、スマートフォンと連携して速度調整や向きの回転が操作できる雲台が発売されていました。待っていたのはこれだ!!と速攻でアマゾンの欲しいものリストに追加しました。買ってはいません・・・お小遣いとのご相談です(苦笑
さておき、スマフォと連携して動くスマート家電はもっと出てくれると嬉しいですね。
チョコレートをゴリゴリと潰して回しているとき、職人だったらどんな速度でやるのだろう?傾きなどはどうなっているのだろう?そもそも擂り粉木が特殊なのか?最適な温度は?何か一緒に混ぜるのだろうか?タイミングはあるのだろうか?いろいろと浮かびました。
私の頭の中にあったのは「試せるなら試してみたい!」でした。
学生の頃、人間工学を学んでいた頃に”ユーザの主体性”が大事だと教授に教わりました。それを今、強く感じています。簡単に言うと、人間は何かを行うときに自分がやっている感(操作感)が欲しいと感じる生き物だということです。それを意識せず、便利さの追求や必要性の希縮的な考えによって機能の自動化や最適化を行うと、使うことが面白くなくなってしまう製品になるかもしれません。
さて、自動化(最適化)という話をしましたが、考えてみると調整があまりできない製品って逆に少ないかもしれませんね。私が思い浮かんだのは、ヘアドライヤーの温度調整、IHの温度調整、掃除機の吸引力、電球の明るさくらいでしょうか。まぁ、我家の製品が調整できないだけで、調整できる製品もありそうですよね。
まぁ、今後、IOTが進んだときに調整力がある機器になってくれることを祈るばかりです。ちなみに、身近にあるもので早くIOT化して欲しいものは、私はカレンダーです。タッチペンで書き込める。スマフォでフォントや絵柄を変えられる。アバターが出てきて話しかけてくれる。そんなスマートカレンダーが早く出てくれないかと思っているところです。
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